Gimonさん
こんな疑問を解消していきます。
OECD(経済開発協力機構)が世界38の国を対象に、2017年の労働時間を国別に比較したデータを公開しています。
このデータをもとに世界の1年間の労働時間のランキングを見ていきましょう。
世界の労働時間 国別ランキング
順位 | 国名 | 時間(h)/年 |
---|---|---|
1 | メキシコ | 2,257 |
2 | コスタリカ | 2,179 |
3 | 韓国 | 2,024 |
4 | ギリシャ | 2,018 |
5 | ロシア | 1,980 |
6 | チリ | 1,954 |
7 | ポーランド | 1,895 |
8 | イスラエル | 1,885 |
9 | ラトビア | 1,875 |
10 | ポルトガル | 1,863 |
11 | アイスランド | 1,858 |
12 | エストニア | 1,857 |
13 | リトアニア | 1,844 |
14 | トルコ | 1,832 |
15 | アメリカ | 1,780 |
16 | チェコ | 1,776 |
17 | ニュージーランド | 1,753 |
18 | ハンガリー | 1,740 |
19 | アイルランド | 1,738 |
20 | イタリア | 1,723 |
21 | スロバキア | 1,714 |
22 | 日本 | 1,710 |
23 | カナダ | 1,695 |
24 | スペイン | 1,687 |
25 | イギリス | 1,681 |
26 | オーストラリア | 1,676 |
27 | スロベニア | 1,655 |
28 | フィンランド | 1,628 |
29 | オーストリア | 1,613 |
30 | スウェーデン | 1,609 |
31 | スイス | 1,570 |
32 | ベルギー | 1,546 |
33 | ルクセンブルク | 1,518 |
34 | フランス | 1,514 |
35 | オランダ | 1,433 |
36 | ノルウェー | 1,419 |
37 | デンマーク | 1,408 |
38 | ドイツ | 1,356 |
- 世界主要国の労働時間、国際比較統計のランキング
- 単位は時間(h)/年
- OECDの2017年の統計を利用
- 各国の全就業者の平均年間実労働時間(パートタイムを含む)
- 就業者とは雇用者(給与所得者)、自営業者を含む
- 労働時間は原則として定時、残業、有給、無給にかかわらず実際に生産活動をしていた時間
- 休暇・有給休暇、昼食時間、OJT以外のトレーニング時間は含まず
日本は22位と意外に低い
日本のランキングは世界と比較しても38か国中22位とそれほど高い訳ではありません。
2011年では一日の平均労働時間のランキングではメキシコに次いで2位でした。
そのため、日本の働く労働時間は改善されているとデータ上は言えるのかもしれません。
しかし、これが本当かどうかは怪しいと個人的には思います。
日本は「サービス残業」という文化や「みなし残業」という制度があるためです。
僕は保険会社で7年間働き、支社で営業職、本社では事務職を経験しました。
その時の働く時間について書いていきたいと思います。
営業職の場合
入社した当時の営業職だった頃、みなし残業が適用されていたため、長く働こうが短く働こうが給与は変わりません。
基本的に総合職は長く働く傾向があり、僕も1日平均すると12~13時間は働いていました。
ただ、労働時間を会社がすべて把握しているわけではありません。
なぜなら、後に本社勤務として分かったのですが、人事部門が管理しているのはPCの起動時間とシャットダウン時間しか分からないからです。
休日出勤も月平均2~3回、一日4~5時間程度はしていました。
しかし、会社としては休日出勤はPCを使わなければカウントされていないので、これは労働時間にもちろん含まれていません。
土日に出勤した場合は、振替制度はあります。
お客さん対応で仕方なく土日にでなければいけない日は出勤が許され、年に3日ほど振替休暇が追加されます。
消化したことはなかったですが。。笑
この場合、出勤はカウントされていますが、実態の勤務時間より短くカウントされています。
事務職の場合
一方、本社事務の仕事はPCがメインなので厳しく管理されます。
30分単位で労働が管理されますが、始業時間は一律9時スタートなので朝早く来れば、労働時間を長くすることも可能です。
朝の6時に来ても、9時までの時間はカウントされません。
終業に関しては、19:30シャットダウンが基本でしたが、申請すれば21:00まで働くことができます。
裏技的なことを使えばいくらでも調整は可能ですが、営業職の時よりはるかに労働時間は短かったです。
当時の上司によると、事務職の場合、昔は残業しても一定の時間しかカウントされなかったそうです。
それと比べるとかなり改善されたようでした。
サービス残業の存在
つまり、何が言いたいかというと会社が管理できていないサービス残業が多く存在するということです。
これは日本の大企業の営業職や本社の事務職で多くある傾向だと考えてよいでしょう。
その当時、大企業で働いている友人も大抵このような働き方でした。
もちろん、中小企業にもこういった、長時間労働が美徳とされるような会社もあります。
「結果がでないなら、結果がでるまでヤレ!」
「平日にやる時間がないなら、土日で何とかするしかないだろ」
こんな言葉を投げかけられたことはありませんか?
世間一般ではこのような会社を「ブラック企業」と呼ぶのでしょう。笑
日本はデータ以上に労働時間が長い可能性は高い
これまで書いた内容は、過去の話しで、今は政府が提言している「働き方改革」の方向に大企業は進もうとしています。
なので、以前よりも労働時間は改善はしているハズです。
しかし、大企業が政府に提出する労働時間のデータが実際よりも少ないと考える方が妥当です。
例えば、大阪の小さな広告代理店で働いたこともありますが、この企業もみなし残業の制度でした。
10人以上の企業は36協定がないといけませんが、ここは10人未満の小さな会社です。
小さな会社はそれほど残業について気にする必要はありませんから、労働時間を正確に把握していません。
労働時間が多すぎなければ、監督省庁に指摘されないので、そうならないように気を付けていたら良いのです。
政府もバカではないので、そんな小さな会社の不確定なデータをあてにはしていないでしょう。
なので、中小企業のデータは「労働時間=賃金」に直結するような会社のデータをOECDに提出している可能性が高いです。
そういった会社は製造業などの残業が少ない会社が選別されていることが想定されます。
OECDのデータは『無給で実際に生産活動をしていた時間も含まれる』とありますが、サービス残業はここに含まれていないでしょう。
企業側がこれを把握して、政府に報告するメリットがまったくないからです。
おそらく、無給でも実際に生産活動をしていた時間とはボランティア活動などを指しています。
日本は祝日が多い国
ここまでざっと、日本のデータは疑わしいということを述べてきました。
日本の労働時間が22位であることの妥当性についても書いておきたいと思います。
世界的に見れば、日本はゴールデンウイークもあり、シルバーウイークがある年もあります。
有給が取りにくい会社もある一方で、祝日の数は世界の国々と比較しても多いです。
そのため、実際に感じる労働時間より一日の労働時間を長く感じている可能性も否定できません。
たいていの会社が週休2日制度を導入しているので、休日の数は恵まれていると考えてよいでしょう。
そこにワークライフバランスが注目されるようになったため『労働時間が改善されているデータが政府に提供されている』という見方もできます。
まとめ
メキシコの労働時間はこの調査を開始して以来ずっと上位をキープしていますし、ここ3年ではずっと1位です。
OECD加盟国の中でメキシコは最も賃金が安い国です。
そのため、長く働いてお金を稼がなければいけないとうい実態もあり、アメリカに出稼ぎをする人も多く、週6日、1日10時間以上働いている人も珍しくはありません。
基本的にアジア圏は欧米に比べて労働時間は長いです。
OECDに加盟していない中国はこのランキングに入っていませんが、一部の地域では日本よりも労働時間が長いという結果もあるくらいです。
また、韓国では競争社会も激しく、長時間労働が形骸化している点では日本に似いて、日本以上に労働時間が長いです。
韓国でも、長時間労働が問題視され、国内メディアによって問題視されています。
一方で、このランキングで最も労働時間の低いドイツはかなり効率的に稼いでいる国です。
人口も多いのに平均労働時間が短く、国内総生産(GDP)も高いので、かなり優秀だと思います。
ドイツの場合は、学校のシステムがそもそも効率的に経済に絡む仕組みになっています。
色々書いてきましたが、個人的には欧米のように効率的に働く企業文化が根付いて欲しいと願っています。
「仕事のために生きる」のではなく「生きるために仕事をする」という意識が日本人に広がり、みんなが幸福感を持てる社会になれるようにしていきたいですね。